定義
必要な作業に必要な最小限の権限だけを付与する原則。AI AgentやAPIキーにも適用し、読み取りで足りる作業に書き込み権限を与えない。
詳しい説明
作業に必要な最小限の権限だけを与える原則です。NIST SP 800-53 Rev. 5 は、各主体に、その機能を果たすために必要な最小限のシステム資源と権限を与えること、と定義しています(要約)。
具体例
請求書を要約するAIエージェントには、会計システムの読み取りだけを許可し、支払いの登録や削除はできないようにします。外部APIのトークンにも期限を付けます。
業務での判断例
架空の例として、問い合わせへの返信案を作るAIに渡す権限を考えます。
| 権限 | 渡すか | 理由 |
|---|---|---|
| 問い合わせ本文と、担当案件の履歴を読む | 渡す | 返信案の材料になる |
| 社内FAQと公開済みの製品情報を読む | 渡す | 回答の根拠を確かめる |
| 返信の下書きを保存する | 渡す | 担当者が確認・修正してから送る |
| 顧客へメールを送信する | 渡さない(人が送信) | 送った内容は取り消しにくい |
| 他の担当者の案件や、全顧客を検索する | 渡さない | 返信案の作成に使わない |
| 顧客情報を変更・削除する | 渡さない | 返信案の作成に含まれない |
迷ったときは「この権限がないと、返信案を作れないか」を問います。作れるなら渡しません。
似た用語との違い
- ゼロトラスト:暗黙に信頼せず、常に確認する考え方です。最小権限は、その中で使われる原則の一つです。
- 承認ゲート:特定の操作の前に人の承認を求める仕組みです。最小権限で操作の範囲を絞り、残った重要な操作に承認を置きます。
実務での注意点
- AIエージェントには、操作(読み取り・書き込み・送信)、対象(どのデータか)、期限の三つで権限を絞ります。
- OWASPは、過剰な機能・権限・自律性を「Excessive Agency」として挙げています。エージェントが、利用者本人の権限を超えて動かない設計にします。
公式資料
- NIST CSRC Glossary「least privilege」
- OWASP Top 10 for LLM Applications 2025「LLM06:2025 Excessive Agency」
