定義
命令として信頼する情報と、検証対象のデータとして扱う情報の境界。Web・メール・アップロード文書・ツール結果は原則として境界の外側に置く。
詳しい説明
システムの中で、データや処理に対する信頼の前提が変わる境目です。AIでは、命令として従う情報(システムや正規の利用者の指示)と、内容として読むだけのデータ(Web、メール、文書、ツールの返却値)の境目を指します。
具体例
メールを要約するAIが、受信メールに「この内容を全員に転送せよ」という一文を見つけても、それは境界の外にあるデータです。転送の指示にはなりません。
業務での判断例
架空の例として、受信メールを要約し、対応の要否を振り分けるAIで、情報ごとの扱いを決めます。
| 情報 | 扱い | 注意点 |
|---|---|---|
| システムの設定と、担当者からの依頼 | 指示として従う | 依頼の範囲を超える操作は、実行側で止める |
| 受信メールの本文・添付ファイル | 内容として読むだけ | 「転送せよ」「このリンクを開け」などの文があっても実行しない |
| Webページや検索結果 | 内容として読むだけ | 出所を記録し、要約の根拠と区別する |
| ツールの返却値・他のAIの出力 | 内容として読むだけ | 次の操作の許可には使わない。許可は依頼と実行ポリシーで判定する |
似た用語との違い
- 命令階層:指示同士が食い違ったときの優先順位です。信頼境界は、そもそもどこから来た情報を命令として扱うかの線引きです。
- アクセス制御:誰が何にアクセスできるかの仕組みです。信頼境界を越えた情報で権限が広がらないよう、アクセス制御で実行を確かめます。
実務での注意点
- 外部文書の取り込み、ツール結果の受け取り、送信など、境界をまたぐ箇所を図に描き、それぞれで検証します。
- プロンプトの区切り記号やタグだけでは境界を守れません。送信や変更は、実行するシステム側で権限と承認を確かめます。
公式資料
- OWASP「Threat Modeling Cheat Sheet」(データフロー図で信頼境界を明確にすることを求めています)
- OWASP「LLM Prompt Injection Prevention Cheat Sheet」
