定義
ある要因が別の結果を生じさせる関係。
詳しい説明
ある要因が、別の結果を生じさせる関係です。2つのことが一緒に増えたり減ったりする「相関」があっても、一方が他方の原因とは限りません。両方に影響する別の要因(交絡)があったり、原因と結果の向きが逆だったりするためです。因果を確かめるには、比べる集団の条件をそろえる、介入の前後を比べるなどの設計が必要です。
具体例
「AIをよく使う社員ほど残業が少ない」というデータがあっても、AIが残業を減らしたとは限りません。もともと仕事に余裕がある人ほど、AIを試す時間がある、という逆向きの関係も考えられます。
業務での判断例
架空の例として、AIの導入効果を報告するときに、データの種類ごとに言えることを分けます。
| データ | 言えること | 言えないこと |
|---|---|---|
| 導入した部署と、していない部署の作業時間の差 | 差があること(相関) | AIが差を生んだこと。部署の性質の違いが混ざる |
| 同じ部署の、導入前後の作業時間 | 導入の前後で変わったこと | 繁忙期や人員など、ほかの変化の影響がないこと |
| 対象者をくじで分け、使う人と使わない人を比べた結果 | 条件がそろっていれば、AIの効果と言いやすい | 対象外の部署や作業でも、同じ効果があること |
似た用語との違い
- 相関:2つの値が一緒に動く関係です。因果の手がかりにはなりますが、それだけでは原因とは言えません。
- 対偶:「AならばB」と「BでないならAでない」という論理の関係です。因果の向きとは別の話ですが、混同されやすい点です。
実務での注意点
- AIに分析を頼むと、相関を因果のように書くことがあります。「原因」「効果」と書かれた箇所は、どのデータに基づくかを確かめます。
- PAP Researchの定点観測では、因果関係の推論を問う質問を毎回入れています。ChatGPTでは、因果の逆転を指摘する結論が観測03以降そろっている一方、説明の細部には回ごとの揺れがあります。
- 効果を報告するときは、比べた条件と、言えないことを一緒に書きます。
