RAG・検索工学
70語
検索拡張生成(RAG)の仕組みと、検索の品質を高める技術の用語です。チャンク分割、埋め込みとベクトル検索、ハイブリッド検索、リランカー、クエリの書き換え、GraphRAG、検索の評価指標などを扱います。
この分野を読むポイント
回答の品質は、モデルの性能より先に「正しい資料を取り出せているか」で決まることが多くあります。検索の再現率や引用の正確さを測り、検索対象に紛れ込む不正なデータへの対策も検討します。
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用語一覧
- RAG(Retrieval-Augmented Generation)
- 検索で取得した外部情報を使って回答を生成する検索拡張生成の方式。適切な資料を検索できなければ回答品質は上がらないため、検索の精度と生成の忠実性を分けて評価する。
- RAGコーパス
- RAGが検索対象として利用する文書・データの集合。古い版・重複・機密区分の異なる文書が混在すると誤回答や情報漏えいにつながるため、収録基準と更新・削除のルールを定める。
- チャンク
- RAG等で検索・入力しやすい単位へ文書を分割した断片。分割位置や大きさが検索品質と回答精度に影響する。
- Chunk Overlap
- 隣接チャンク同士で一部の文字列・文脈を重複させる設計。文脈切断を減らせる一方、重複ノイズやコスト増を招くことがある。
- Embedding
- 文章・画像等を意味的な近さを計算できる数値ベクトルへ変換した表現。RAGのベクトル検索などで使う。
- Embeddingモデル
- 入力をEmbeddingへ変換するモデル。モデル変更により検索順位・類似度・再現性が変わりうる。
- ベクトルDB
- Embedding等のベクトルを保存し、類似度検索を高速に行うデータベース・検索基盤。
- ベクトル検索
- クエリと文書のEmbedding間の距離・類似度を使い、意味的に近い情報を検索する方式。
- キーワード検索
- 入力された語や文字列の一致・出現頻度等を使って情報を検索する方式。固有名詞や正確な語句検索に強い場合がある。
- Hybrid Search
- キーワード検索とベクトル検索など複数の検索方式を組み合わせ、検索漏れと意味検索を補完する方式。
- BM25
- 検索語の出現頻度や文書内での希少性等を用いて文書の関連度を算出する代表的なキーワード検索手法。
- Reranker
- 初期検索で取得した候補を、より高精度な関連度評価で並べ替えるモデル・処理。
- Top-k
- 検索や生成で上位k件を採用する設定。RAGでは取得チャンク数の指定などに使われる。生成パラメータのtop_k(【V】)とは別。
- Query Rewriting
- 検索しやすい形へ質問文を書き換える処理。検索性能を上げられるが、元の意図を変えない管理が必要。
- Multi-Query Retrieval
- 一つの質問から複数の検索クエリを生成し、異なる観点から候補文書を取得する方式。
- HyDE
- Hypothetical Document Embeddingsの略。仮想的な回答文書を生成し、そのEmbeddingを使って関連文書を検索する手法。
- Metadata Filter
- 部署・日付・製品・法域・権限等のメタデータ条件で検索対象を絞り込む処理。
- Parent-Child Retrieval
- 細かい子チャンクで検索し、回答時には親文書や広い文脈を返すRAG設計。
- GraphRAG
- 文書中のEntityや関係をグラフ構造として整理し、その関係性も利用して検索・統合するRAG手法。
- Agentic RAG
- Agentが検索計画、再検索、クエリ修正、情報統合等を複数ステップで自律的に進めるRAG構成。
- Text-to-SQL
- 自然言語の質問をSQLへ変換し、データベースを検索・集計して回答する方式。表構造や業務定義の誤解による誤集計、権限外テーブルへのアクセス、更新・削除系クエリの実行が主なリスクで、読み取り専用権限、対象テーブルの限定、生成SQLの検証・表示等で対策する。
- Data Poisoning
- 学習・RAG・評価等に使うデータへ意図的または偶発的な不正情報を混入させ、AIの挙動を歪めること。
- Embedding Inversion
- Embeddingから元の入力内容や機密情報の一部を推測・復元しようとする攻撃・プライバシーリスク。
- Retrieval Recall
- 必要な関連情報のうち検索処理がどれだけ取得できたかを表す検索評価の観点。
- Context Precision
- モデルへ渡した検索文脈のうち、実際に質問へ関連する情報がどれだけ含まれているかを見る評価観点。
- Context Recall
- 回答に必要な情報が検索文脈へどれだけ取り込まれているかを見るRAG評価の観点。
- Citation Correctness
- 回答に付けた引用・出典が、その主張を実際に支持しているかを評価する観点。
- Index
- 検索対象を高速に見つけるために作成する索引構造。RAGではEmbeddingやメタデータを検索可能な形に整理したものを含む。
- Indexing
- 文書の分割・Embedding生成・メタデータ付与・索引登録など、検索可能な状態へ変換する処理。
- Entity Resolution
- 同一人物・企業・製品等の表記揺れを統合し、異なる対象を誤って同一視しないよう識別する処理。
- Needle In A Haystack
- 長大なコンテキストの中に埋め込んだ特定情報をモデルが見つけられるかを確認する評価手法・課題。
- Self-RAG
- 生成中に検索の必要性や取得情報の有用性を自己評価しながら、検索と生成を調整するRAG手法。
- Corrective RAG(CRAG)
- 取得文書の関連性や品質を評価し、不十分な場合に再検索や別ソース利用などで補正するRAG手法。
- Contextual Retrieval
- チャンク単体だけでなく文書全体や周辺文脈の情報を付加・利用して、検索精度を高めるRAG設計。
- Late Chunking
- 長い文書を先に広い文脈のままEmbedding処理し、その後にチャンク単位の表現を作ることで文脈損失を減らす手法。
- Reciprocal Rank Fusion(RRF)
- 複数の検索結果順位を、各順位の逆数に基づくスコアで統合するランキング融合手法。
- Dense Retrieval / Sparse Retrieval
- Embedding等の密ベクトルで意味的近さを検索する方式と、語の出現等の疎な表現で検索する方式の対比。
- ANN(Approximate Nearest Neighbor)
- 高次元ベクトルから完全一致の最短探索を省略し、近似的に近い候補を高速に見つける検索方式。
- HNSW
- グラフ構造を用いて高次元ベクトルの近似近傍検索を高速化する代表的なANNアルゴリズム。
- nDCG
- 検索結果の関連度と順位を考慮し、理想的な並び順と比較してランキング品質を評価する指標。
- MRR(Mean Reciprocal Rank)
- 最初の正解・関連結果が現れる順位の逆数を平均し、上位に正解を返せるかを評価する指標。
- Knowledge Graph
- 人物・組織・製品等のEntityと、その間の関係をノードとエッジで表現する知識構造。
- Multimodal RAG
- テキストだけでなく画像・音声・動画等も検索対象や回答根拠として扱うRAG構成。
- ColBERT / Late Interaction
- クエリと文書をトークン単位のベクトルとして保持し、検索時に細粒度で照合する高精度検索方式。
- RAG Triad
- RAGを評価する際に、検索文脈の関連性、回答の根拠への忠実性、質問への回答適合性を組み合わせて見る評価枠組み。
- コサイン類似度
- 2つのベクトルの向きの近さを角度に基づいて測る類似度。Embedding検索で広く使われる。
- Semantic Chunking
- 固定文字数ではなく、文や段落の意味的まとまり・話題の変化等を基準に文書をチャンクへ分割する方法。
- CAG(Cache-Augmented Generation)
- 頻繁に利用する知識や長い文脈をキャッシュ可能な入力として保持・再利用し、毎回の検索処理を減らして生成へ利用する構成。
- Table Extraction / 文書構造解析
- PDFや文書から表、見出し、段落、列、セル等の構造を認識し、検索・分析しやすいデータへ抽出する処理。
- Vision-based Document Parsing
- OCR文字列だけに依存せず、ページ画像、レイアウト、図表等の視覚情報をマルチモーダルモデルで解析する文書処理方式。
